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02
「させる」から「してしまう」浸透の話
組織内で部門間の分断が埋まらない。研修やタウンホールミーティングなどを実施し、理解は進んでいるが、社員の行動が変わらない。

私たちが日々の活動の中で接する経営層や経営企画の担当者からは、その組織の大小を問わず、同じような声が聞かれます。

業務へのAIの活用などによって、効率化は進むとしても、まだまだ実際には人が業務を行う状況は続きそうですし、内容に変化はあるかもしれないとは言え、結局人は人が好きなのではないかと思うわけで、人が集まり組織を作る以上は、ついて回る本質的な問題なのだと思います。

私たちは、ブランディング活動を通じて、組織内の、また組織と顧客の関係性を「乳化」していくことをミッションの半分としています。(もう半分は、提供する価値の「New化」です。)

業務の合理化・効率化を進めれば進めるほど、部門間の分断も進行していく。このジレンマを解消すべく、縦割りになった組織に横串を通すために大切なことは何か。
私たちの事例をご紹介しながら、お伝えできればと思います。

化学繊維や化成品の専門商社である蝶理株式会社から、サステナブル関連の展示会出展に際したコンセプトメイキングと展示の構成・演出の相談を受けた私たちは、繊維・化成品を提供している企業がサステナビリティの文脈において「何を訴求すれば際立った存在になれるのか?」を探すため、競合や業界動向のリサーチ、社内のあらゆる部署にヒアリングを実施しました。

コンセプトの構想にあたっては、リサーチやヒアリングを行う中で見えてきたのは 、繊維・アパレル業界におけるサステナブル対応は至上命題であり、様々な技術革新や商品開発が行われているものの、それらは全体を見た時の部分、つまり点が散在しているとも考えられ、効果も限定的であると言わざるを得ない状況でした。さらに諸外国に比べて日本での取り組みは後手に回っていることもあり、グリーンウォッシュと受け取られかねないようなものも散見され、建前ではなく実効性のある取り組みが求められていることが共有されました。
そのような状況に対して蝶理の強みは、独自性の高い商品での一点突破ではなく、少しスケールを変えて考えると、商社として繊維業界の川上から川下までを幅広くカバーしており、点と点を繋ぎ合わせ、線に、そして面にすることが可能であるとともに、「半商半工」という言葉が物語るように、モノづくりの背景も持っているという特長を持っていたため、サプライチェーン全体をサステナビリティ最適化を実現することができる、そして蝶理がそのようなコンセプトを立ち上げ、業界をリードしていくという考えに至りました。

そうした考えをコンセプトとして昇華したのが、サプライチェーンを青く塗り替える『Blue Chain』という活動型のブランドであり、今では約140社が参加するアライアンスとなり、サステナブルな社会の実現に貢献しています。以上からもおわかりのように、本プロジェクトはもともと組織間の分断の解消、組織内に横串を通すことによるコミュニケーションの促進を目的に行われたものではありませんでした。

繰り返しになりますが、本来は、展示会出展に際して、コンセプトメイキングと展示空間の演出の依頼であり、そのアウトプットとして『Blue Chain』というブランドが生まれたのですが、結果としてその取り組みが社内に「サステナビリティ」という横串を通すこととなり、それまでは各々に部分最適を目指していた事業部間に新たな回路が生まれ、組織の中で新たな取り組みにつながったのです。意図せず繋がってしまったというのが実際のところです。

最初から全て狙い通りに進行し、結果が出るのが良いに決まっているのですが、この事例によって私たちが得た気づきは小さくないものでした。
それは、本来の目的の実現を直接的に目指すのではなく、あえて間接的な形での実現を目指すことの有効性です。
企業カルチャーの浸透を目的として、研修やワークショップを通じて自社のカルチャーはこういうものであると直接語りかけ、伝えたとしても、なかなか定着するものではありません(もちろん、そうした取り組みを否定するわけではありませんが)。
そもそもカルチャーとは、さまざまな文化的な営みの結果として、時間をかけて自然と「出来上がってしまう」ものなのであり、トップダウンで、一朝一夕にできるものではないはずです。
かといって、全てを成り行きに任せるというのはあまりにも無責任ですので、「自然」を「作為」するという一見すると矛盾している、自然なものにしか見えないが、よく見ると手入れが行き届いているような状態を目指すことが重要なのではないか。押すよりも、引くようなアプローチ。ガラッと変わるのではなく、いつも間にか変わっていたと認識されるようなプロセスの設計。特に日本型の組織においては、そのような取り組み方を検討してみるのが良いのではないかと私たちは考えています。 (プロジェクトの進め方はこちら)
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