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01
自然とできる企業文化
企業文化とは
企業文化に限らず、一般に文化/カルチャーと呼ばれるものは、「人々が共有する価値観・信念・習慣・知識・言語・芸術などの総体であり、社会の中で受け継がれ、変化し続ける人間の生活様式」のことであり、ある特定の集団がさまざまな営みの結果として、時間をかけて自然と「出来上がってしまう」ものなのであり、誰かの主体的な意志によって、一朝一夕にできるものではないはずです。そして、この文化/カルチャーは風土という環境の上に成立し、規定されていると考えらます。そのため、企業文化/カルチャーを考えるにあたっては、その土台になっている風土もセットで考える必要があるのです。
しかし、セットで考えるのが重要であると言われても、文化/カルチャーは上記の定義のようにすべての営みの「総体」であり、変わり続ける「様式」であるところの文化/カルチャーは実体のようなものはなく目には見えない、いわば「空気」のようなもので、つかみどころがありません。
かといって、組織の価値創造の土壌とも言える企業文化/カルチャーを、全てを成り行きに任せるというわけにはいきませんので、どうにかアプローチして良い企業文化を根付かせたいと思うのが普通だと思います。それでは掴みどころのない「空気」にどのようにアプローチすれば良いのでしょうか。

文化/カルチャーの種
結果としては空気のようなものであっても、その空気が醸成される元になるもの、文化を構成するものはある程度特定することが可能かと思います。文化を構成するものが、価値観や信念、習慣であるとすれば、企業における文化のそれに該当するのは、パーパスやミッション、ビジョン、バリューなどの理念体系ということになるでしょう。自分たちのアイデンティティを規定するMVVなどをしっかりと定義することは非常に重要なことですが、抽象的すぎたり、自分たちの強みを把握できずに理想の姿だけが掲げられていたりすることも少なくありません。また、MVVなどの理念がしっかりと決められており、それを多くの社員が「知っている」という状態にはなるものの、それを日々の業務の中で常に意識し、行動しているという社員は、実際のところかなり稀なのではないでしょうか。これに関連して、MVVなどを策定した後に、それがなかなか浸透しないということもよく耳にしますが、私たちは経営層をはじめとした社内上層部が策定したものをトップダウンで浸透させるというスタンスそのものにも原因があると考えています。一人残らず、全員の声を反映させることは難しいかもしれませんが、策定の段階から経営層と社員が対話・協働することで、「浸透」をズラすことも非常に大事なことです。
そして、先ほども記したように、企業文化/カルチャーは(組織)風土の上に成り立っています。風土に合致していない、または整えられていない環境にいくらMVVなどの種を蒔いたとしても、それがうまく芽吹き、成長する可能性も低いということを念頭に置くことも重要だと思います。
言葉は私たちが世界を認知する上で非常に重要なものであり、時として想像以上の力を発揮することもあります。しかしながら、それと同時に(特に日本においては)人の行動に影響するのは他者からの評価や空気なのではないでしょうか。逆に言えば、人は置かれた環境(空気)に少なからず影響され、適応してしまう生き物でもあるので、人が行動してしまう環境を作ることが重要だと考えられます。

直線的ではなく、曲線的に考える
人は環境とともに、行動を通じて経験したことから非常に大きな影響を受けます。「百聞は一見に如かず」です。人が行動してしまう環境作りのために、私たちが推奨しているのは、風土を意識して策定したパーパスやミッション、ビジョン、バリューなどの理念に基づいた組織が持つ価値を外部へ発信するプロジェクトを立ち上げ、その取り組みを通じて組織の外からのフィードバックを獲得するというものです。私たちはそうした取り組みをシグニチャープロジェクトと呼んでいますが、組織内部の空気を変え、本当の意味でのアイデンティティを規定していくのは顧客をはじめとした外部(他者)の声なのです。策定したことを研修やワークショップを通じて直線的に「浸透」させるのではなく、外部への発信・反響を通じて空気を変える曲線的なアプローチこそ有効なのではないでしょうか。
シグニチャープロジェクトは、特定の部門や部署のみによってではなく、部門を横断した混成チームで行われることが望ましく、むしろ動いてしまう、動かざるを得ないようなプロジェクトの設計が求められます。
様々な声が可視化される現代において、ブランドに求められるのは一方的に発信による静的なポジションを獲得するためのイメージ形成ではなく、積極的にフィードバックを獲得・解釈し、それによって自分たちのアイデンティティーを更新することでブランドを拡張していく双方向的で動的な姿勢であると思います。本当の自分などというものは存在しないように、企業やブランドも外部との接触によって形作られ、絶え間なく変化・生成されていくものなのではないでしょうか。
以上のことを私たちのミッションに引き付けてお話しすると、「社内の関係を乳化(調整)することで、商品/サービスの価値を改める」ことと「改められた商品/サービスの価値によって、社内の関係を乳化させる」ことの循環によって、組織の風土・文化や企業カルチャーと呼べるものが形作られていくと考えているのです。

事例
実際にエンドユーザーと接することで、発見や気づきを獲得することで事業にも活かし、それが同時に企業理念の浸透にも繋がっている優れた取り組みの例として、エーザイの「共同化」の取り組みが挙げられます。様々な書籍でも取り上げられているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、同社のHPには、以下のように紹介されています。

『企業理念に掲げている「患者様と生活者の皆様のベネフィット向上」を実現するために、私たちが一番大切にしているのが、患者様やそのご家族の想いを知ることです。 言葉にできる想いはほんの一部であり、言葉に表れない、表せない心の奥底にある想いに気づき、感じ、共感することが必要と考えています。 そのためには患者様やそのご家族と共に時間を過ごし、共体験をする「共同化」が重要と考え、グローバルの全社員に対してビジネス時間の1%を患者様と過ごすことを推奨しています。』
 
「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考えそのベネフィット向上を第一義とし世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」という企業理念、それを端的に表現した「ヒューマン・ヘルスケア」をブランドのコンセプトとして、上記のような「共同化」プロジェクトを全社レベルで継続的に実施することで習慣化し、自分たちが提供すべき価値とは何かを考える機会を提供し、行動することにつなげていくという一連のプロセス設計はやはり特筆すべきものがあると思われます。
私たちが現在ともに取り組んでいるプロジェクトの中にも、バタフライという卓球用品ブランドを展開する株式会社タマスの取り組みがあります。私たちが関わり始めてからの数年間で様々な取り組みを行なってきましたが、それらの多くはあえて部門を超えた社員の方々をアサインし、普段の業務では関わることのない領域のことに取り組んでいます。その中でも、「まちたく」と呼ばれる卓球の普及プロジェクトを立ち上げ、駅や商業施設に卓球台を設置し、卓球が持つ魅力を普段卓球に触れる機会がない人たちに体験・訴求しています。その取り組みの中で実感した卓球が持つ価値や魅力を社会課題の解決のために生かしていこうという動きにもつながっており、ブランドコンセプトを体現する取り組みの連鎖が生まれていることに、私たちとしても大きな手応えを感じています。

まとめ
上記のエーザイのような取り組みは確かに素晴らしいものですが、実施されていることは誰にもできないような難易度の高いことではないと思われます。文脈は異なれど、日々の業務の中で現場や顧客を知り、そこからインサイトを導き出そうとするような取り組みは行われていることでしょう。タマス社の事例も同様で、現状で行われている様々な取り組みをどのような文脈の、どのようなストーリーとして認識するかという問題でもあると思います。
場合によるものの、必ずしも今までとは全く異なる、大きなジャンプを要するような取り組みを始めることだけが良いわけではなく、いつの間にか変わっていたような状況を作り出すためには、むしろ既存の取り組みをシフトしたり、ハックしたりするようなアプローチが有効であると考えられるのではないでしょうか。 (プロジェクトの進め方はこちら)
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